恐い”海外慣れ”
シンガポールではホテルのネットサービスを24時間利用することができました(有料)。時間があればメールや掲示板で家族や友人などと連絡をとりあったり、被災状況を調べたりしました。
掲示板には妹からの書き込みもあり、家族にもずいぶんと心配をかけてしまったことを反省しました。年に数回旅行にでている私たちは、いつもなら日程表を家族へ渡して旅行にでるのですが、今回に限って海外携帯を持っていた安心感もあって、家族に日程を知らせることなく出発してしまったのでした。
海外へ出る回数が多くなるとだんだん”海外慣れ”してしまい、外国でも日本でも同じ感覚で過ごしてしまいがちです。特に個人手配旅行では旅行先の現地で助けてくれる人がいないので、万一の時にどう行動するかを入念に調べていかなければなりません。
今回の津波では、ツアー客の安否が比較的早く分かったのに対し、個人手配の旅行客の存在については津波発生直後のニュースでは全く触れられませんでした。ところが安否不明の邦人は大半が個人手配客でした。これからは、このような災害の時に自分たちの安否と所在を日本にいる家族に伝える手段をあらかじめ用意する必要があると思いました。
個人手配旅行で海外へ出かけて、幸いなことに何のトラブルもなく帰国できると『個人手配旅行ってこんなに簡単なんだ!』と思ってしまいます。でも実際にトラブルにあってしまった場合、それを切りぬけるのはあなた自身なのです。あなたの判断が生死を分けてしまうこともあるかもしれないのです!
こんなことを書くと説教くさくてイヤなのですが、今回の私たち家族の体験がこれから海外旅行にでられる方にとって、”警鐘”として受け止めてもらえればと思います。
危機管理
今回の体験では残念なことにホテル側の避難誘導や情報の提供がなく、全ての判断は最終的に自分自身でするしかありませんでした。誰もあてにならない時にどうやって行動すればよいか?ぜひ旅行出発前に考えてみてください。
また、現地で危険な目に遭わないためにはどうすればよいか?基本は『セルフディフェンス』(自分の身は自分で守る)です。こちらのサイトでは海外に出かける際の『基本的な予防策』について簡潔に記載されていますので、ご一読されることをお勧めします。
私が津波被災を体験して思ったのが、
- 留守家族へ日程および連絡先を知らせておく
- 通信手段の確保(プーケットではホテルの電話回線が不通になってしまった)
- 海外旅行保険の加入(留守家族にも保険の控えを渡しておく)
- 病院の名称や場所
- 緊急時にはどこへ連絡したらよいのか出発前にリストアップしておく(緊急時には慌てているのですぐに連絡先が見つからない)
上記の連絡先としては
- 現地の日本大使館、領事館
- 保険会社の海外アシスタントサービス
- 航空会社の連絡先など
- 現地で万一の時に助けてくれる人の確保(もしくは連絡先)
少なくとも個人手配旅行であれば、以上は日本出発前から準備をしておくべきです。
さらに津波の時に思ったのが
- 正確な情報の確保
- 危険を察知したら迷わず逃げること
- 家族はできるだけ一緒に行動する
- 逃げるときは裸足ではなく運動靴で。サンダルだと早く逃げることが出来ない。
- 水や食料の確保
- ホテルのエレベーターは極力使用しない
- 危険からできるだけ離れられるよう、また略奪にあわないよう不審者および不審な場所に近づかない。
- 被災後のホテルや出国手段の確保
と思いつくままあげてみましたが、まだもれていることもあるかもしれません。
教訓
旅行に出かける時は誰しもこれからはじまる楽しい旅のことを考えて、最悪の展開を考える人なんてそうそういないでしょう。事実、私たちもまさかプーケットであんな目に遭ってしまうとは夢にも思っていませんでした。夢にも思っていなかったからこそ、いろいろな準備を怠ってしまったのです。
『旅先ではトラブルも何も起こらず、楽しい思い出だけ』私たちの旅行のほとんどは楽しいまま終わってしまいます。でももしかしたら、次の旅行ではあなたの命を脅かすような大きなトラブルが待ち構えているかもしれません。その『もしも』に備えて準備だけはしっかりしていきたいものですね。
こんなえらそうなことばかり書いてしまいましたが、これは私が津波の被災体験を通して身にしみて感じたことなんです。この教訓がみなさんの旅行に少しでもお役にたてればよいなと思っています。