(その1)
昨日の例でバンコク発のディスカウントチケットをこのようなルートで買い、バンコクの旅行会社からあなたの自宅にその航空券が届いたとします。
バンコクー成田ーホノルルー成田ーバンコク
さて、あなたは手元にある航空券を見てある考えが浮かびました。
「ちょっともったいないけど、1枚目のバンコクから成田の部分は使わずに、2枚目の成田から使えばいいんじゃないかしら?そうすればわざわざ片道航空券を買ってはじめにバンコクに行く必要もないし。」
航空券は原則的に乗り始めの部分の予約は必ず入れなくてはなりません。つまり、チケットの1枚目、バンコクから成田部分は必ず予約を入れないと航空券が発券できません。もちろん、あなたの手元の航空券もきちんと予約が入っています。
12月1日 バンコクー成田 予約OK
12月29日 成田ーホノルル 予約OK
1月4日 ホノルルー成田 予約OK
5月1日 成田ーバンコク 予約OK
あなたはその名案?に従って、12月1日の飛行機には乗りませんでした。ちょっともったいないけれど、バンコクー成田の部分は権利放棄したのです。でも、わざわざバンコクに行く必要もなかったし、日本で12月29発ハワイ行きの航空券を買えば13万円もします。なのにあなたは9万円でこのチケットを買うことができました。それを考えれば航空券の一部を権利放棄しても、充分モトが取れる計算です。
さて、12月29日にあなたは年末年始をハワイで過ごすべく、成田空港へ向いました。使わなかった航空券の1枚目、バンコクー成田部分は自分で予め切り取っておきました。
さっそくチェックインの手続きに入ります。
「今日のXX便を予約した○○ですが、チェックインをお願いします」
「○○様、12月1日の**便にはご搭乗をされていませんね?残念ながら○○様のご予約は本日分を含め全てキャンセルとなっております。」
あなたは、寝耳に水の話で呆然となってしまいました。でもここまで来て、しかも手元には航空券だってあるのに納得できません。
「そんなこと言われても、ホラここに航空券もあるでしょう。何とかなりませんか?」
「お客様は初めのバンコクー成田の飛行機にお乗りにならなかったので、航空会社の規則によりそれ以降の全てのご予約がキャンセルされています。また、今お持ちの航空券もすでに無効になってしまいましたので、今のところXX便に空席はございますが、そちらの航空券はお使いいただくことはできません。もし、どうしてもご出発されたいということであれば、こちらで航空券をお求めいただくことができます。」
「どうしてもハワイに行きたいので、クレジットカードで今買いますよ。いくらですか?」
「はい、税金等も含めまして281,960円」となります」
「にっ、28万円!」
あなたは、大きなスーツケースを抱えたまま、成田空港の出発ロビーで茫然自失となってしまいました。
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この話はフィクションですが、全てが作り話ではありませんし、実際に似たようなケースも発生しているのではないでしょうか?
この話で、問題になったのは「航空券1枚目の権利放棄」です。以前はこのような航空券の使い方をする人も多かったようで、予約が入っているにもかかわらず権利放棄のために当日空港に現れないこと(ノーショウ)もあったようです。
ましてや、権利放棄をしても海外で買ったほうが航空券が安いとなると、このようなケースが今後も増えていく事態も考えられました。
こんなことが続き、「航空券は発券した順番に使用しなくてはならない」というルールが設けられたようです。もちろん、途中の一部区間に乗らなかったりした場合もその航空券は無効になってしまいます。
また、出発後に旅行が取り消しになったためその後の旅行が続けられなくなってしまっても、出発後の航空券の払い戻しは原則的に不可能です。
ですので、今回のケースでもバンコクー成田部分を使わなかったのですが、すでに出発後という扱いになり、その後の成田ーホノルルー成田ーバンコクの部分も一切払い戻しを受けることが出来なくなってしまったのです。
しかし、呼び寄せ便と呼ばれる一部のチケットに関しては海外発券、日本発の航空券が利用できます。呼び寄せ便に関してはハワイ発券とも関係してくるので、また機会があるときに色々調べてみたいと思っています。
呼び寄せ便も以前はずいぶんお得な金額で買えたようですが、今はさほどのお得感がないか日本で買ったほうが安くなるため利用する人も減ってきたのではないでしょうか?